指導者の言葉が選手の芽を摘んでしまう危険性

「ジュニア年代では勝たなくていい」「勝つ事よりテクニックの方が重要」

SNSなどでこのような言葉を見かけることがあります。それぞれのクラブやチーム・指導者の考えがあるのでそれについて私が口を挟む余地はありません。

しかし、これを実際に選手が目にしたり直接指導者から聞かされているとしたらどうなるでしょうか。

選手はサッカーに熱中すると「上手になりたい」「試合に勝ちたい」という思いが強くなると思います。
その時に「勝たなくていい」「試合に負けてもいいから○○にこだわってプレーして」と言われたら、先に書いたような選手の本来持っている気持ちを摘んでしまう可能性があると思うのです。
私が留学していたバルセロナではどの年代でも選手・指導者・保護者が時にやりすぎだろ、と思うくらい勝ちにこだわっていました。だから30試合あるリーグの1試合に負けて号泣する選手もいました。そういう意味では負けず嫌いな選手が本当に多かったと思います。

そこまでやる必要があるのかは議論の余地がありますが、勝ちにこだわらなくていいという事を刷り込まれて本来持っていた気持ちを一度摘まれたとしたら、それを取り戻す作業は簡単ではありません。
勝負にこだわる気持ちが薄い選手が高いレベルの競争を勝ち抜くのが難しいのは想像に難くありません。

もちろん我々指導者は勝つ事【だけ】に執着するのではなく、選手の成長のために様々な工夫を施さなくてはなりません。
結果として勝てるかどうかも重要ですが、勝つために全力でプレーし、そこで感じたことをもとにまた努力する。その過程を選手自身が学ぶことも重要だと思うのです。

私はいろいろな狙いを持ちながら試合に招集するメンバーやスタメンに抜擢する選手を選びます。しかし、それを言い訳にすることなく勝利を目指して全力で試合に臨みます。「勝たなくていい」と選手に言うことはありませんが、それと同じように選手の成長のために必要なことを大事にします。

極端な話をすれば、我々指導者がどういった狙いで試合に臨むかは関係なく、選手が持っている気持ちを感じて尊重しながら彼らと接する事の方が選手の年齢が下がれば下がるほど大事になるような気さえしています。

我々の言葉は選手の成長に良くも悪くも大きく影響を及ぼす可能性があるということを自覚していかなくてはなりませんね。

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この記事を書いた人

□スペインサッカー指導者ライセンス レベル2
□指導歴
2007-2012 清水エスパルス普及部
2009-2012 エスパルスSS駿東JY U-13監督
2012-2013 U.E.SANT ANDREU Infanitil A (U14)アシスタントコーチ
2013-2014 U.E.SANT ANDREU Cadete B (U15)アシスタントコーチ
2014-2015 C.D.ALMEDA Alevin A (U12) 監督
2015-2016 U.E.Sant Joan Despi Alevin D (U12) 監督
      U.E.Sant Joan Despi Infanitil E (U14) 監督
2016-現在 レアッシ福岡FC