選手の頭の中を知ること、それも私たち指導者の仕事です

私たち指導者の仕事の一つに【選手の評価】があります。
こう書くと何か特別な事のように思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、試合や練習で「今のプレーは~だったからよかったぞ」や「~をしてないからボールを失ったんだ」というように選手へ伝える事が選手へ評価を下すという事になります。

それによって選手は「今のプレーはよかったのか」「コーチの求めることはこれか」や「~を意識してやらないといけないんだ」というように自分のプレーをコーチからの評価を通じて反省することができます。

しかし私たち指導者は完ぺきな判断を下すことはできませんし、様々な目に見える選手の状況などを通して選手の頭の中(考えていること)を想像しながら評価を下すのですが間違うこともあります。
しかし間違った評価(選手の頭の中の分析を失敗)すると、選手は「この監督は何もわかってないし、わかってくれない」と感じて信頼してくれなくなってしまいます。

そこで我々が行うのが選手への質問です。例えばパスを受けた際にフリーなのにも関わらずバックパスをしてしまったある選手。状況的にはボールを受ける前に相手の位置を確認しておらず(観ていなく)、フリーであることを知らなかったと推測されます。しかしそれはあくまで様々な要因に基づいた私(監督)の予想です。そこで選手に「相手はどの位置にいた?」と質問をすると「1m先にいた」と言う。しかし実際は3m先に相手がいた。その選手とのやり取りによって選手は相手を観ていたが、はっきりと距離を認識するまではできていなかった事がわかります。
このように選手と会話をする事によって選手と指導者との考え方のギャップを埋めることができます。もちろんいつも会話をしていたら練習がその都度止まり、活動量や練習のリズムが下がってしまうので回数はコントロールしなくてはなりません。しかし私たちがいつも自分の評価を過信していたらお互いに成長はありません。

さらに質問(会話)をするメリットは【選手たちのコミュニケーション能力を向上させる】という面もあります。自分の考えや狙いを監督に伝えることによって頭をフル回転させて文章を作り上げて声にしなければなりません。しかし、ここで注意しなくてはならないのは選手たちが監督の意図を汲んで話をしようとしていないかを見極めることです。よくあるのが「今ボールを受ける前に相手の場所見てた?」と監督が聞くと選手は見ていたとしても(たぶんこう言うのを待ってるんだろうな)と考え「見てませんでした」と答えるのです。
だから私は時々選手たちに質問する際にあえて逆の事を言って「これが大切だよね」と聞きます。そうすると何も考えていない選手は「そうです!」と反射的に答えますし、そうでない選手は「それは違うと思います」と言います。
こうやって選手が本当に考えていないとうまくいかないようにやり取りをするのです。

このように我々の仕事には選手の頭の中をのぞきながら可能な限り正しい評価を下すことがあるのです。
その精度が上がることで選手たちはサッカーを正しく学べますし、我々指導者の成長にもつながるのです。
パッと外から練習を見ているとただ大きな声で叫んでいるだけと思われるかもしれませんが(笑)、こういった事を意識しながら毎日選手たちと接しています。

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この記事を書いた人

□スペインサッカー指導者ライセンス レベル2
□指導歴
2007-2012 清水エスパルス普及部
2009-2012 エスパルスSS駿東JY U-13監督
2012-2013 U.E.SANT ANDREU Infanitil A (U14)アシスタントコーチ
2013-2014 U.E.SANT ANDREU Cadete B (U15)アシスタントコーチ
2014-2015 C.D.ALMEDA Alevin A (U12) 監督
2015-2016 U.E.Sant Joan Despi Alevin D (U12) 監督
      U.E.Sant Joan Despi Infanitil E (U14) 監督
2016-現在 レアッシ福岡FC