「リーグ戦方式とトーナメント方式の違い」長期リーグ戦とは何か?

「リーグ戦方式とトーナメント方式の違い」長期(年間を通じた)リーグ戦とは何か

大会形式が育成年代に及ぼす影響というのはあまり語られていないように感じます。練習メニューや指導論などはたくさんあっても、「ではどうやったら選手が成長するのか」といった確信をつくものは多くはありません。
また、日本の指導者について突っ込んだ議論もほとんど見ません。事なかれ主義というよりも、議論になるべきテーマについて疑問がない、ことが問題かもしれません。
そういう意味では『年間を通じたリーグ戦の必要性を訴えること』は育成年代の指導者の根本に関わるテーマかもしれません。

今までの育成代での試合形式

過去によくあった形式を説明します。
例えば最初は3チームでリーグ戦(総当たり)をして1位のチームだけが次に進みます。1位のチームが3チーム集まって再度リーグ戦(総当たり)をします。またそこで1位になった32チームが振り分けられてとトーナメントを行います。そのトーナメントで8位以内に入ったら県大会出場。県大会では3チーで構成されたリーグ戦(総当たり)を行い、その上位チームがトーナメントを行う、といった形式が長く採用されてきました。

予選などでは3チームがリーグ戦?(総当たり)を行うという意味ではリーグ戦なのですが、チーム数があまりにも少ないために、1試合負けたら状況が厳しくなるので一発トーナメントとほぼ同じになってしまいます。

このようなトーナメント方式の大会が年に数回あるというのが今までの方式です。

例えば、福岡市の過去の例では、夏に全日本サッカー大会があって、秋にはさわやか杯、冬にはフジパンカップがあって、最後に福岡市長杯、といった流れです。
全日で負けたら次はさわやか杯目指して、それで負けたら九州少年(フジパンカップ)で、といった具合に、たくさんの大会が行われているという状況でした。

トーナメント方式のプレッシャー

トーナメント方式は勝てば次に進んで、負ければ終わりという形式です。文字通り、勝たなければ次はないので、その試合に勝つことだけが最大の目的になります。これには相当なプレッヤーがかかります。
負ければ終わりなのですから、内容よりも結果が最大限の目標です。「次はない」のですから。
しかし、3チームでのリーグ戦も同じように負けたら終わりに近いような状態になります。そういう意味では、トーナメント戦でも少数でのリーグ戦でもメンタル面では同じように、一つも負けられないというプレッシャーがかかるという意味では同じようなものです。

リーグ戦方式

日本のJリーグでもプロ野球でも、基本はリーグ戦です。負けても次はあるし、長いシーズンをどのようい戦って行くかといった長いスパンでの戦略が求められます。
そして、総当たりを行うというのがリーグ戦の重要なポイントですが、同じ形式でも試合数によっては戦い方が大きくことなってきます。

こう考えると3つの形式が存在することになります。
①トーナメント方式
②短期のリーグ戦方式
③長期のリーグ戦方式

②番は限りなくトーナメント方式と性質が似てくるので、長期のリーグ戦とは違うものになります。
③番の『長期にわたるリーグ戦』が世界のプロリーグのみならず、サッカー先進国の育成年代でも行われている方式です。

リーグ戦方式が主流に変わってきた現状

前述したトーナメント方式では常に負けたら終わりという状況で試合をして行かなければならないのに対して、日本サッカー協会が提唱したのは「長期リーグ戦文化を日本に根付かせる」というものでした。
この「リーグ戦文化」とは何かというと、日本をはじめ、海外のプロクラブでも見られる、1年間を通じたリーグ戦を行うというものです。
今までの日本の育成年代のトーナメンと方式を見直し、世界のサッカー先進国と同じように小学生でも中学生でも、プロと同じように年間を通じたリーグ戦を行うということが日本サッカー協会の意図しているところだと思います。

サッカー先進国では、育成年代でも年間を通じたリーグ戦を戦うのが主流で、日本のような年間にトーナメント方式の大会がたくさんあるというのは珍しい例なのです。

そういう流れもあって、福岡市でもU-11のリーグ戦やU-10の区内リーグなどが近年始まりました。

しかし、問題は山積みです。

短期のリーグ戦は実施されるようになったが、それは本質的に長期のリーグ戦とは異なります。
それでもとりあえず日本サッカー協会の意向に沿って「リーグ戦」をこなしている状況。
今の状況が問題だと考えるか、問題ないと考えるか。
僕は「大いに問題がある」と考えています。

なぜ年間を通じたリーグ戦が必要なのか?

この質問に明確に答えられる指導者はどれくらいいるのかは疑問です。僕自身、簡単にうまく表現できない部分があります。なぜならそれはあまりにも大きな問題や様々な事象と関わってくるからです。
先日レアッシが戦ったU-11のリーグ戦。この形式に問題があると考えている指導者が多いのか少ないのかはわかりませんが、それについての議論があまりにもないのは問題かと思います。
福岡市のみならず、年間を通じリーグ戦に対する認識は、育成年代に大きな影響を及ぼす可能性があります。

みなさん、年間を通じたリーグ戦は必要だと思いますか?

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
■『日本の育成年代における様々な問題を考える』
○目次
はじめに〜「育成年代に必要なことを理解している指導者は少ない?』 移籍、リーグ戦、8人制、試合時間など」
◇01:「リーグ戦文化の必要性」
・01-1:「リーグ戦方式とトーナメント方式の違い、長期リーグ戦とは何か?」
・01-2:「スペインで行われている長期リーグ戦と日本のジュニア年代の環境の比較」(対談:坪井健太郎×レアッシ福岡FC 吉廣)(coming soon..)
◇02:「試合時間について」
・02-1:小学生で20分、15分ハーフはあまりにも短すぎる。それはサッカーではない。なぜサッカーではなくなるか?!
◇03:「大人のサッカーと子どものサッカー」
・03-1「大人のサッカー」について考察する
◇04:「サッカーにおける反則とは何か?」
・04-1「ファールすることは悪い事」と決めつける指導者
◇05:「小・中学生の移籍について」
・05-1:「すべては選手のために」 日本ではネガティブに考えられる「移籍」 Vol.1
・05-2:「すべては選手のために」 日本ではネガティブに考えられる「移籍」 Vol.2
・05-3:ジュニア年代の移籍に関して問題解決へ!

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この記事を書いた人

□スペインサッカー指導者ライセンス レベル1
□選手歴 筑陽学園サッカー部卒
□指導歴
2007-現在 レアッシ福岡FCジュニア,ジュニアユーススタッフ
2009-12 FCバルセロナ オフィシャルスクール福岡校コーチ
2015-2016 スペインバルセロナ在住
2015-16 UE CORNELLA Juvenil B 研修(バルセロナ)

サッカーコーチが学べる情報サイト『ジュニアサッカー大学』を運営