レアッシ福岡フットボールクラブ

福岡県福岡市のサッカーチーム

U-10 分析動画公開! 〜小学4年生の戦術〜

レアッシでは各カテゴリーの試合をビデオに撮影して、選手のパフォーマンスや対戦チームの分析を日々行っているのですが、今回は僕が担当しているU-10(小学4年生)を分析した動画を公開したいと思います。

世界で求められているのは状況判断を伴ったテクニック・考えるプレー

単にドリブルが上手い、フィジカルが強い、といったことだけでは世界に通用する選手になれないと僕らは考えています。もちろんそれらは重要な要素ですが、レアッシがそれと同等、もしくはそれ以上に選手を評価している点は「考える力」です。
そこには『戦術を理解している』こと、『状況に応じたプレーができる』ということも重要です。
考えながらプレーできること、それはインテリジェンスとも言えるかと思います。

選手のミスや良いプレーが「テクニック」の問題なのか、それとも「判断」の問題なのか。

目には見えないものを評価する(状況判断=選手の頭の中の思考を見る)

現在僕がU-10で取り組んでいるのは「前進のためのサポート」。
サポートとはボールを持っている選手に対してパスコースを確保することですが、「確保の仕方」「その後のイメージ」がとても重要です。
パスライン(パスコース)を作るには、「敵の背後にポジションを取らないようにする」ということが一般的ですが、それだけでは選手はサッカーを学びません。

単純にテクニックがある、フィジカルがある、ということではなく、『選手が何を考えている=状況判断』という日本ではあまりフォーカスされない現象に取り組んでいます。

僕らが「選手の何を評価しているか」ということにもつながりますので、今回は実験的ではありますが紹介したいと思います。

いつどこにポジションを取り何を考えるか


最初に解説なしの動画です。

レアッシ(黄色)が手前から奥方向に攻めているのですが、この一連のプレーで選手の何を評価しているか。
右サイドを攻めようとして無理だったので一度ボールを下げ左に展開。

いろいろ見るべきとこはあるのですが、今回はあるポジションの選手についてフォーカスしました。

同じプレーを解説したいと思います。


赤い○で囲まれた選手は反対サイドにある時には直接パスを受けることができません。
その後右のセンターバックにボールが入った後、サイドを展開すると予想した直後に自分の周囲の状況を確認してポジショニングを調整しています。
『自分の周りに敵がいるのかスペースがあるのか』
左CBのパスが渡った時にパスコースを確保しようとしますが、サイドに開いてい選手を見て中央に留まります。
そしてサイドの選手にパスが入ったのでポジションを変えてそこにサポートに行き数的優位を作ろうとする流れです。
技術的なミスが出て上手くいきませんでしたが、そこではサイドを打開できる2対1の数的有利な状況を作り出しています。

同じような状況のプレーです。

右サイドで攻撃できなかった後に一度ボールを下げます。その時に赤○で囲った選手は自分のサイドにボールが来るまでに3回周囲を見て情報を得ようとしています。
その後左のセンターバックにボールが渡り、その選手が中央へドリブルすると離れながらパスコースを作ろうとしています。
結果的にそこへパスが出ませんでしたが、「このサポートの仕方は良い」とジャッジしてます。
もしここにボールが渡ればサイドで2対1の状況を作り出せるからです。

もう一つ同じような状況です。

同じように右から左に展開した後、周囲を見ながらパスを受けようとしています。
左のCBがコントロールする直前にサイドの状況を見ています。
そしてその後パスを受ける前に周囲の状況を見ながら、『敵の中盤のラインを超えながらディフェンスラインにかからないよう』にポジションの高さを調整しています。

ここでも結果的にパスは出ませんでしたが、敵のSBがサイドにつられていますのでここにパスが通ればサイドを崩すチャンスでした。

この試合は15分×1本で、相手のプレスの速さ、インテンシティが高かったので思うように狙いを成功することはできませんでしたが、この選手の動きは3回(細かなものを含めると5回ほど)現象として出ています。

つまり、偶然に起きたのではなく、『プレーの意図』を持って動いていることが分かります。
一度だけなら、偶然そうなった可能性も高いのですが、同じような現象が起きているということはこの選手が「意識してプレーしている」ということです。

最後に今度は逆サイドの別の選手ですが、同じようなポジショニングで右サイドで崩したシーンです。

左サイドを攻めようとして前進できなかったためサイドを変えます。
Punta(FW)の選手と右のインサイドハーフの選手での崩しです。

右サイドに展開した後、前述したのと同じように敵、味方、スペースを確認しています。その後相手のサイドハーフがCBにプレスに行くので相手のSBに対して2対1の数的優位な状況ができます。

CBからインサイドハーフにパスを出した後に外に展開したので相手のCBがつり出されます。
そこで開いたスペースをPunta(FW)が狙います。
得点にはなりませんでしたが、決定的な場面を作ることができました。

しかし、実はこの一連のプレーに、選手の状況判断のミスが含まれています。

僕も最初にこのシーンを編集した時には「上手くいったな」と思っていたのですが、選手が状況を認識できていないミスがあります。

どこでしょうか?

僕もそれに気づいた時に、そこを改善するにはもっと別の練習をしないといけないなと思いました。

というようなディスカッションをしながらレアッシでは日々選手のパフォーマンスを評価し、トレーニングメニューを作成し、試合の動画を分析しています。

土のグランドでプレーするため技術的なミスが多く出てしまいますが、それでも勝利と育成のバランスを見ながら『選手にサッカーを学ばせながら勝利する』という非常に難しい取り組みを行うことは育成年代、特に小学生・中学生の年代には重要なことだと思います。

日本の小学生年代ではあまり重要視されていない『戦術』の部分。
実はそこがとても重要で、「世界との差」の一つでもあります。

 

寄稿者のプロフィール

レアッシ福岡フットボールクラブディレクター吉廣 一仁
□スペインサッカー指導者ライセンス レベル1
□選手歴 筑陽学園サッカー部卒
□指導歴
2007-現在 レアッシ福岡FCジュニア,ジュニアユーススタッフ
2009-12 FCバルセロナ オフィシャルスクール福岡校コーチ
2015-2016 スペインバルセロナ在住
2015-16 UE CORNELLA Juvenil B 研修(バルセロナ)

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