他のスクールに通うメリットとデメリット。真相を伝えます②

前回、「他のスクールに通うメリットとデメリット。真相を伝えます①」というタイトルで、クラブチームもしくは少年団などに所属しながら他のサッカースクールにに通うことについての考えを書きました。
今回はその第2弾として、「具体的にどのようなメリットとデメリットがあるか」を考えたいと思います。
前回と重複する内容の部分もあるかもしれませんがご了承ください。

メリット

①「試合がメインのスクール」
サッカーを始めたばかりの低学年の子供たちは、練習の質も大事ですがプレーする量を確保することが大事です。そういう意味では、試合(ゲーム形式)ばかりを行うスクールも指導(コーチ)の質はともかく、サッカーをする「量」そのものを確保できるメリットがあります。

②「テクニック系スクール」
テクニックに特化したものなので、高学年であってもクラブの練習日以外なら良いかもしれません。テクニックの向上には必ず反復の回数が必要であるため、週に一回で技術がつくかは疑問ですが、しっかりとテクニック習得の「コツ」を教えてもらえるなら良いかもしれません。

③「戦術系」
率直に言って、高度な戦術を学べるスクールはあまりありません。
なぜなら戦術面での向上は、対戦相手による部分が大きいからです。スクール内の、内輪どうしの試合をいくら行ってもそれがレベルアップしないのは、指導しているコーチ自身がよくわかっているはずです。
それを言わないのは、当然スクールの経営の問題です。
しかし、簡単な基本的な戦術を学べるのもスクールのメリットです。
チームに関係なく、初期段階の戦術を学べるのであれば低学年年代にはとても良いと思います。
どうしても低学年はテクニック重視で高学年になってから基本的な戦術を教える、もしくは小学生のうちは戦術は不要と考えるクラブは多いですから、レアッシのように小学生低学年年代でも戦術は必要だという価値観をもっているなら、基本的な戦術を学べるスクールは良いかもしれません。但し、スクールで教えられる戦術の難易度という意味では、低学年〜中学年までのような印象です。

ざっと「メリット」について考えてみました。どのスクールも小学生の低学年から中学年までは価値が高いのかなと思います。

デメリット

小学生の低学年年代では良いのではないかと考えているということは、高学年年代では基本的にあまりメリットがないのではないかというのが我々のスタンスです。
これは、福岡でいろんなスクールがある中での判断なので、他の地域、もしくはまだ我々が知らないスクールは例外で、現在まで見たことがあるスクールのみでの判断です。

デメリットと考える理由として特に強調したいのが『習慣』というものです。「良い習慣と悪い習慣」、習慣とは読んで字のごとく、「いつも行っていることが当たり前になって、良いことも悪いことも、それが日々の当たり前のものとして身につく」ということです。
食事や趣味、社会生活ではイメージしやすいですが「サッカー面」での習慣とは意識していない指導者もたくさんいますが実は選手の成長に関わる大きな問題です。僕らがクラブの現場で感じている「習慣」と深く結びつく現象として以下のようなものが挙げられます。

①「インテンシティの低さ」
ザッケローニ前日本代表監督が使って浸透したインテンシティという言葉。これは強度という意味ですがレアッシのスタッフもとても意識している部分です。インテンシティとは何かという厳密な議論は置いておき、今は守備や攻撃の速さや強さと考えておいて良いでしょう。
例えば、低いインテンシティでプレーすることが「習慣化」すれば、実際激しい、もしくはレベルの高い相手には通じないスピード感、強度でプレーすることが身に染み付いてしまい、まったく意味のないものになってしまいます。
例えば日本にある、もしくは日本にしかない「ドリブルサッカー」。守備のインテンシティが低いので上手くドリブルしているように見えますが、それはドリブルが上手いのではなく、守備のインテンシティが低いので通用しているように見えます。実際高校選手権でのビデオを見ましたが、守備の激しさがヨーロッパと比べて低いためドリブルが通用している感がありました。
普段低いインテンシティでプレーしているために上手くいっているように見えますが、強度が上がるとそれができないという現象が起きます。
ドリブルに限らず、ボールポゼッションする場合でも強度が低すぎる中でプレーしているので、一見上手くボール保持ができているように見えますが、実際は通用しないだろうなと思う部分が多々あります。

②「その他の部分での習慣化」
例えば、試合(ゲーム形式)を繰り返す中で、「攻守の切り替え」というものがそのスクールで「習慣化」しているかは疑問です。単純にこどもがスクールでプレーしてるのですが、ボールを奪われた後のポジショニングの速さや戦術的理論を教えているかは疑問です。

当然、そういうものを期待せずスクールに通っているという意見も理解できます。サッカーが上手くなるためではなく、子どもの友達形成や、人間教育のためにいろんなスクールに通う、というのは意義がありますね。

僕が懸念するのは、サッカーそのもののレベルアップという意味では疑問が残るということです。

勿論、保護者の方はいろいろ悩まれると思いますが、その前に一度スタッフに質問してもらえたらと思います。スクールのネームバリューだけにとらわれず、本当に選手のために何が必要かをアドヴァイスするのが、僕ら「プロの指導者」の務めです。

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この記事を書いた人

□スペインサッカー指導者ライセンス レベル1
□選手歴 筑陽学園サッカー部卒
□指導歴
2007-現在 レアッシ福岡FCジュニア,ジュニアユーススタッフ
2009-12 FCバルセロナ オフィシャルスクール福岡校コーチ
2015-2016 スペインバルセロナ在住
2015-16 UE CORNELLA Juvenil B 研修(バルセロナ)

サッカーコーチが学べる情報サイト『ジュニアサッカー大学』を運営