1つの方程式 責任感×集中力=メンタルの強さ

日本サッカーにおいてジュニアユース年代(中学生)以降は一部のローカルの大会を除けば試合は11人制で行われています。
試合における責任を100とすると、それを11人で割れば100÷11=約9.1となります。しかし責任というものはこんな単純なものではなく、自分の守るゴールに近い場所で相手がボールを持っていればDFやGKの責任感は増し、FWのそれは下がるかもしれません。反対に自分の攻めるゴールに近い場所でFWの選手がボールを持っていれば、その選手の責任は増し、後方に残っているDFやGKのそれは下がるかもしれません。

しかしレアッシにおいてその考えは正しくありません。それはどんな状況においても同じように責任感を持たなければいけないと考えているからです。なぜならある失点したシーンで、相手チームがDFラインでボールを持っている際にFWやMFの前目の選手が守備を疎かにした影響で相手が楽にボールを前に運んだために後方の選手に大きな負担が掛かりゴールへと繋がったかもしれないからです。だからこそ前線の選手にはどうやってプレッシングを掛けるのか・そのプレッシングが外された際にその周辺の選手がどう動いて生じた穴を埋めるのかまでしっかりとトレーニングしています。
同じようにボールと逆サイドにいる選手や攻撃している際のDF・相手に押し込まれた際に前線で残っている選手にもやるべき仕事があり、頭を休めたり気を抜いている時間というものは試合中には存在しないのです。だからこそジュニアユースに入団したばかりの中学1年生には試合中にそういった事を厳しく要求しています。コートがジュニア時代より広がった事でボールに直接関わる機会や時間は減ったかもしれません。また、試合時間が長くなったり要求されるレベルが上がったり量が増えた事で頭への負荷が高まった事と思います。しかしそれを理由に集中力を失う場面を作っては上のレベルでは戦えません。常にボール保持者やその他の相手や味方の状況から次のプレーを予測し、ボールが来た時の為にこまめにポジションを修正し続ける事が本当に大切となるのです。パスやコントロール・ドリブルなどの実行の部分に関するミスは誰しもが起こすものですし、その部分の向上には時間が掛かるものですからあまり気にしていません。しかし判断に関する部分の質にはこだわりますし、それと同様に常に頭を働かせ続ける事はかなり強調して選手に伝えています。私は「これが起こるかもしれないから、ここにポジションを修正しよう」と常に慎重に物事を考える事ができる・それを実行できている状態を「集中している」という定義の一つとしています。

ただ「予測しろ!」「集中しろ!」と指導者がどれだけ言っても選手がそのための手段を知らなければ改善する事は難しくなります。ですので私たちは選手が状況に応じて判断を下せるように、その判断基準の基となるものをトレーニングや試合を通じて選手たちに伝えようと日々試みています。

それが全選手に浸透し、試合の開始から終了まで全選手が同じ責任感を持ち続ける事ができるようになればチーム全体が勝利のメンタリティを身につけ誰も試合中に気を抜かずに最後まで戦い続けられる強いメンタリティを持ったチームとなるのだと思います。常に高い責任感を持ち、それを最後まで「集中して」保ち続ける事ができるメンタリティ。それは決して【走り】では身につけられないものだと考えているのでレアッシではそれだけのトレーニングは行いません。それでもタフな強いメンタリティを持った選手をユース年代へと送り出せるように努力していきます。

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この記事を書いた人

□スペインサッカー指導者ライセンス レベル2
□指導歴
2007-2012 清水エスパルス普及部
2009-2012 エスパルスSS駿東JY U-13監督
2012-2013 U.E.SANT ANDREU Infanitil A (U14)アシスタントコーチ
2013-2014 U.E.SANT ANDREU Cadete B (U15)アシスタントコーチ
2014-2015 C.D.ALMEDA Alevin A (U12) 監督
2015-2016 U.E.Sant Joan Despi Alevin D (U12) 監督
      U.E.Sant Joan Despi Infanitil E (U14) 監督
2016-現在 レアッシ福岡FC