監督の苦悩と葛藤-現実と理想の狭間で選手が成長する為に-

今回は約9ヶ月のU11 1stチームでの活動で監督として考えていたことや、その成果と課題についてお話していきたいと思います

完全に現実路線へと舵を切った前期リーグ

3月の初旬にU11の支部リーグ前期のディビジョンを決めるための大会であるチャンピオンシップを戦い、4月の中旬に開幕した前期1部リーグ

私自身、チーム作りから行って戦うのは初めてとなるU11年代のリーグでやりたい事(プレーモデル)はあるものの8試合という短い戦いにおいて、どこまでそれを追求・浸透させる事が適切なのかわからない状態でチャンピオンシップ後の1ヶ月で準備をしなければなりませんでした

そこで私が考えたのは「まずはやりたい事より先に守備を整備してロースコアの試合に持ち込んでチャンスが少なくても得点を奪って勝つサッカーをやろう」という事でした

勝ちはもちろんですが引き分けも含めていかに勝ち点を取って残留を早く決められるか、という事に焦点を絞って戦う事を選択したのです

そういった考えのもとで練習を重ね、前期リーグは3勝3分2敗の勝ち点12で9チーム中5位となり狙い通り残留を決める事ができました

しかし私が理想とするような内容の試合は皆無で選手達の持ち合わせている能力に見合ったサッカーができていた試合もありませんでした

ほぼ全試合をビデオ録画し試合があった当日か翌日には試合を見返すのですが、いつも思うのは「なんてサッカーを選手達にさせているんだろう」という想いと選手達の良さを引き出して内容のある試合をできない自分自身の不甲斐なさでした

そして6月頃から「結果を追求する事は当然として、もっと内容のある選手達が成長できるサッカーを目指す」という事を志して練習や試合に取り組む事にしました

勝利を追求しつつ内容の向上を目指して取り組み始めた前期リーグ終了後

ただ選手が好き勝手にプレーし、とりあえず後方からロングボールを蹴り、こぼれ球を拾ってサイドに展開して1対1を仕掛けさせるような昔ながらのサッカーではないものを目指しました

最初は選手達も戸惑いを見せていたものの徐々に形となり、上手くいかない場面や試合は当然あったもののU11九州ジュニアの福岡支部予選あたりではかなり手応えを感じるようになり、福岡支部予選を2位で通過という結果も伴うようになりました

そして迎えたU11九州ジュニア中央大会では少しでも上を目指して戦い、選手達も自分たちのやってきた事に自信を持って臨んだものの県ベスト16で敗退となってしまいました

負けたという事実から監督としてチームを更に成長させなくてはいけないのは明らかなのですが、その時に私が持っていた選択肢は2つでした

1つは今のやり方を更に追求して精度を上げること・そしてもう1つは新しいエッセンスを取り入れてサッカーを進化させることでした

選手とチームの更なる成長の為に選んだのは、、

そこで私が選択したのは後者の【新しいエッセンスを取り入れてサッカーを進化させること】でした

県ベスト16での敗退翌週に後期リーグが開幕する為、そこまでは時間が無さすぎたので新しい事を取り入れるのではなく、敗戦後の選手とチームのメンタリティを回復させる事に集中しました

そして開幕の2戦を1勝1分とし、リーグは約1ヶ月の中断となったのでそこで私はチームをさらに成長し、改善する為の新しいエッセンスを注入するべく練習を行いました

しかし今となって振り返るとそこに落とし穴があったように思います
というのも私と選手達の間に<新しいエッセンス>というものに対する考え方の齟齬があったのです

私はこれまでやってきたサッカーは間違っていないし、それにいくつかの要素を付け加える事で更なる進化をチームと選手にもたらせると考えていました

しかしリーグ再開後の選手達のプレーを見ていると「これまでとは違う、新しいサッカーに取り組む」という意識があったのではと感じました

それによって私は少し時間が経てば慣れると思っていたものが選手達は全く新しいものに取り組んでいるので時間が足りず、そればかりかこれまでできていた良さも消えるというか忘れてしまうような状態となってしまいました

私自身は今でも目指したものは決して間違っていないし、選手の成長の為になるものだと思っています
しかし、その伝え方やチーム状態の持っていき方は改善の余地があったなと反省しています

ではこれからの方針は?

来シーズン私が担当するジュニアのチームやジュニアユースのチームではどうするのか?
それは今年と同様に内容と結果の両方にこだわります

そうでなく、ただ結果のみにこだわって勝利至上主義になってしまえばレアッシのアイデンティティはこれまでの日本サッカーの常識の中に埋没してしまいます

さらに私がスペインから帰国する時に抱いていた想いも捨てる事になりますし、レアッシというクラブが私に期待して声を掛けてくれた意味すらなくなってしまうのです

その実現のため、これから選手が成長する為にどんなサッカーが良いのかという育成の観点と、そのサッカーをして勝つ為にどういったポイントを押さえなくてはいけないのかという観点の2つを模索しながら勉強を重ねていきたいと思います

そうする事によって選手の質に見合った、より良いサッカーの内容を実現しながら勝てるチーム・クラブが誕生するのです
そういった想いを胸に私達は努力し続けたいと思います!

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この記事を書いた人

□スペインサッカー指導者ライセンス レベル2
□指導歴
2007-2012 清水エスパルス普及部
2009-2012 エスパルスSS駿東JY U-13監督
2012-2013 U.E.SANT ANDREU Infanitil A (U14)アシスタントコーチ
2013-2014 U.E.SANT ANDREU Cadete B (U15)アシスタントコーチ
2014-2015 C.D.ALMEDA Alevin A (U12) 監督
2015-2016 U.E.Sant Joan Despi Alevin D (U12) 監督
      U.E.Sant Joan Despi Infanitil E (U14) 監督
2016-現在 レアッシ福岡FC