レアッシ福岡フットボールクラブ

福岡県福岡市のサッカーチーム

9歳、10歳で試合に勝つ方法 〜それでは上手くならない〜

サッカーというスポーツでは、年齢が低くなればなるほど『単純な要素』を向上させることで「試合に勝ちやすく」なります。

その1番の例が『守備のインテンシティ(強度)』を上げること。
とにかく『速く・強く・激しく』ボールホルダーにプレスをかけることで、まだサッカー経験が少ない低学年の選手の多くはミスをします。

そこでは「チーム全体のプレスのかけ方」というインテリジェンスを欠いていても、それは有効な手段となります。なぜならボールを持っている攻撃側の選手に、まだ「素早く判断し実行する」能力が備わっていない年齢だからです。

しかし年齢が上がると「それだけでは通用しなくなる」ため、「原理原則に沿った守備」を行う必要が出てきます。
低い年齢の場合、「1対1の正しい守備の仕方」を知らなくても、とにかく強度(インテンシティ)を上げるだけで試合には勝ちやすくなります。

もう一つは、個人で打開できる(特にドリブルで)テクニックです。
低い年代ほど、状況判断を伴わなくてもテクニックで打開しやすい傾向にあり、例えパスを出したほうが良い状況でも高いレベルのテクニックで打開することで点数を決めることができます。

これは悪いことではありませんが、問題なのは『それだけをひたすら続けている』状況です。
なぜ問題かと言うと「その時は勝っていても年齢が上がるとすぐに逆転される」からです。

なぜそのような現象が起きるのか、もう少し詳しく説明します。

何も考えていないとプレースピードは上がり強度が増す

分かりやすい例では「守備のインテンシティ(強度)」が低い年代では挙げられます。
戦術的な要素、例えばカバーリングやスライド、チームとしてのプレスの方法などを考えずに『ひたすら走ってボールホルダーに強く当たる」。
これはとても強度をあげることができます。

なぜなら「何も考えていない」からです。
ではなぜ「何も考えていないと強度が増す」のか。

例えば、選手が2人並んでコーチが手を叩く合図でダッシュして競争するとします。
試合前でもよくある風景ですが、反応の早さに違いはあれど、選手は素早くスタートを切ります。

でも、そこに考える要素が入るとどうでしょうか?

僕が時々選手をリラックスさせるためにやることですが、
「スタートの時に両手をグーの形で選手に見せ、そこから右手と左手で数本の指を立てて、その合計が偶数ならスタート、奇数ならスタートしない」。
選手は僕が上げた指の本数を数えて(認知)、その合計が偶数・奇数を判断して(分析・決断)アクション(実行)を起こします。

そうすると、単純に「手を叩いた合図でスタートする」時とは違い、明らかにスタートを切るタイミングが遅れます。
つまり選手は「状況を見て判断して身体を動かす」という一連の流れの中で「脳で処理する部分に負荷がかかり」速くスタートを切ることができないのです。

それは「考える要素が増えるとプレーの強度が下がる」ということにつながります。

戦術的なトレーニングを行うと強度が落ちる

例えば、新しい戦術的な知識を選手に与えるトレーニングを行う場合、プレーのインテンシティは明らかに落ちます。
まだ慣れていないことを「考えながらプレーする」ため、いつもなら素早く出せるパスも「考える要素が増えた」ことで遅くなってしまいます。
これは「選手の脳に負荷がかかっている状況」です。

前回書きましたが、選手のアクションは「PAD+E」をもとに行われます。

この負荷が高すぎると、本来自分より能力が低い選手に対しても良いプレーが効果的に発揮できないこともあります。

余談ですが、今回僕が担当したU-10・1stのリーグ戦でも初戦は選手に「戦術的な負荷」をかけないようにしました。初戦ということで緊張もある中、戦術的に考える要素を増やすとプレーの強度(スピード・強さ)が下がり試合に負ける可能性もあったからです。

GKが持ったらどこにポジションをとり、パスを受けたら何を見て何を考えるか、相手が何枚でプレスをかけてきたらどうして、ボールを持ったら何を優先するかなど、考える要素が増えれば増えるほど選手のパフォーマンスは下がります。

「質の高いサッカーをしなければ選手はサッカーを学ぶことができません」が、リーグ優勝や初戦の緊張などを考えると「過負荷」になると判断したため、「素早く前線にボールを配給する」という、あまり選手が考えなくて良い形でプレーさせました。

考えていない時と同じような強度を持って「考えてプレーする」

「考える要素が増えるほど強度は下がり」ます。
しかし、それが「意識して考えなくてもできるレベル」になると強度が下がりません。
選手が無意識に行っていますから負荷は減り、スピードや強さは「何も考えていない時と同じ」強度になります。
最初は「意識しないとできないレベル」その次に「意識しなくてもできるレベル」になり、その状態では次のステップを踏むことができます。

つまり、選手を成長させる段階はいくつかのステップを踏む必要があるということです。
①「知識がまだないのでそれを与えるレベル」
②「知識を意識しないとできないレベル」
③「意識しなくてもできるレベル」
それをクリアすれば次のステージに進むわけです。

今回のU-10のリーグ戦では、「どのレベルの要求なら、例え選手のプレー強度が下がっても試合に勝利することができるのか?」ということが重要でした。
「質を追求するあまり、多くを求めすぎた結果、選手に負荷がかかりパフォーマンスが落ちて試合に勝てない」
「勝利を追求しすぎるために、新しいことを学ばせずにひたすら強度を上げる」。

前回書いたように、「選手にサッカーを学ばせながら勝利する」ということはとても難しいことですが、そこに踏み込んで行くことはとても重要なことだと思います。

その年代でだけ勝てる方法だけを行っていては選手の成長は止まります。

寄稿者のプロフィール

レアッシ福岡フットボールクラブディレクター吉廣 一仁
□スペインサッカー指導者ライセンス レベル1
□選手歴 筑陽学園サッカー部卒
□指導歴
2007-現在 レアッシ福岡FCジュニア,ジュニアユーススタッフ
2009-12 FCバルセロナ オフィシャルスクール福岡校コーチ
2015-2016 スペインバルセロナ在住
2015-16 UE CORNELLA Juvenil B 研修(バルセロナ)

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